猫が大好きなのに「逃げられてしまう、なつかない、敵意をむき出しにされる・・・」
そんな悩みをもつ猫好きさんたちは、少なくありません。
その一方で、猫が嫌いあるいは無関心な人に限って、猫に好かれたりします。
これにはいくつかの理由があります。
そこで今回は、猫が逃げる理由・なつかない原因と、その解決策(猫に好かれる方法)をご紹介します。
これからお伝えする方法は、飼い猫や野良猫に接するときなど、さまざまな局面で効果を発揮してくれると思います。
- 猫が不快に思う距離(パーソナルスペース)を知る
- 猫の苦手な匂いに気を付ける
- できるだけ猫が寄ってくるまで近づかない、触らない(関心の無いフリをする)
- 声と話し方に気を付ける
- 足音を大きくたてない
- 近づき方を工夫する
- 目をじっと見つめない
- 両目をゆっくりと閉じる両目ウインク、目を細める
- 猫の目線より下から手を差し出す
- 人差し指のニオイを嗅がせて安心させる
- あごの下と首まわり、耳の裏側を撫でる
- 手をすぼめて(小さくして)伸ばす
- エサ・おやつを手で与える
- おもちゃで誘う
- 猫を叩かない
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)を疑ってみる
- [例外] 猫パンチをして逃げるのは、遊びに誘っている
- 「耳を外側に尖らせている」のは猫が嫌がっているサイン
- さいごに
猫が不快に思う距離(パーソナルスペース)を知る
猫は「自分と他者との距離感」を、とても大切にする動物です。
ただこれは猫だけでなく、人間や他の動物でも同じです。
人間も満員電車やエレベーターで、他人と接近しすぎる空間をストレスに感じますよね。
このような、「他人に近づかれると不快に思う空間」をパーソナルスペースといいます。
さて、猫のパーソナルスペースはどのようなものでしょうか?
① 個体距離 | 非常に親しい者だけが入れる距離です。
ここに入れるのは、体を触ったり一緒に寝ることをも許された者だけです。 それ以外の者が侵入すると、威嚇・敵意をむき出して攻撃します。 そのため体を撫でさせてくれる、あるいはくっついて一緒に寝ることができれば、このエリアに入ることを猫に許されたということです。 |
② 社会距離 | 知っているけど、体に触れたりするほど親しくはない者が入れる距離です。
※ 猫からの距離:1メートルほど |
③ 臨界距離 | 知らない者が入ってきた時に、威嚇・敵意をむき出して攻撃する距離です。 |
④ 逃走距離 | 知らない者が入ってきた時に、逃亡する距離です。
そのため初対面の猫にこのエリアに近づこうとすると、猫は逃げてしまいます。 ※ 猫からの距離:2メートルほど |
猫の苦手な匂いに気を付ける
猫の嗅覚は、人間よりも遥かに優れています。
それなのに人間でも不快に思うほどの匂いを嗅がされたら、猫はたまったものではありません。
猫に「臭いニャー!」と逃げられるのがオチです。
また人間にとっては良いニオイでも、猫にとっては苦痛でしかないニオイもあります。
猫の嫌いな匂いは、おもに以下のものです。
猫がなつかないのは、意外とこのようなことが原因だったりします。
- 香水
- タバコ
- ハッカ系・メントール系(湿布、虫刺され薬など)
- 柑橘系(みかん・レモんなど)
できるだけ猫が寄ってくるまで近づかない、触らない(関心の無いフリをする)
できるだけ猫が寄ってくるまで近づかない、触らないようにしましょう。
猫は突然近寄られたり、なれなれしく触られたりするのを嫌うからです。
「猫好きな人ほど猫に嫌われて、猫嫌いな人ほど猫に好かれる」といわれるのは、このような理由からです。
まず人間と猫の大きさを比べてみましょう。
もし猫が人間だったら、身長8メートルの巨人からいきなり手を近づけられて体を触られるということになります。
特に用心深い猫にとってみれば、これは恐怖としかいいようがありません。
ですので、猫が「触ってもOK」の態度を見せてくれるまで辛抱強く待ってあげましょう。
したがって、「猫に関心の無いフリをする」という心構えで猫と接するのがコツになります。
もし猫にある程度近づいても逃げないのなら、ある程度の信頼関係があるというサインです。(参考:猫のパーソナルスペース)
声と話し方に気を付ける
声は高めに
自然界では、低い音は威嚇・怒りなどのマイナスの感情、高い音は甘え・喜びなどプラスの感情をあらわすことが多いです。
そのため男性が話している声を聞くと威嚇や怒っているように聞こえるので、猫は男性よりも女性を好む傾向があります。
特に高い声は、子猫の鳴き声を連想させて聞き取りやすいので猫に好かれます。
子猫の鳴き声のような高めの声(ただし甲高い声はダメ)で、猫に話しかけましょう。
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声のボリュームは小さく
猫は耳が人間よりもはるかに聴力が発達しているので、大きな音が苦手です。
人間が約20,000ヘルツ、犬が約38,000ヘルツの音まで聞くことができますが、猫はそれをゆうに超える60,000~100,000ヘルツの音を聞き取れるほど耳が良い動物です。
そのため大声を出したりすると、猫は怖がって逃げてしまいます。
ちなみに人間の子供は突然大きな声を出したりしがちですので、最もなつきにくいですし嫌います。
猫に対しては、小さなボリュームで話しかけましょう。
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優しくゆっくりと話しかける
話す速度も、ゆっくりの方が好かれます。
また、同じ女性の中でもおばあさんのような物静かな女性が猫に好かれます。
これは、おばあさんの声が男性のように低すぎず、子供のように高すぎず大きすぎず、優しくゆっくりとした話し方をする傾向があるからです。
ぜひ「人間のおばあさん」になったつもりで、猫に優しくゆっくりと話しかけてみましょう。
足音を大きくたてない
音のボリュームに気を付けたほうがいいのは、声だけではありません。
騒々しい人も猫に嫌われますので、足音をバタバタと立てないように気を付けましょう。
近づき方を工夫する
猫への近づき方を、次のように工夫することで警戒されにくくなります。
- 猫の見える場所から近づく
- ゆっくりと静かに近づく
- しゃがんだ状態で猫に近づく
- 円を描くようにして近づく
では、1つずつ見ていきましょう。
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猫の見える場所から近づく
猫は視力が人間の10分の1ほどしかなく、人間のように目で遠くから人の顔を識別できません。
遠くのものはボヤけてよく見えないのです。
そのため猫は、まず「視覚」ではなく「ニオイ」と「音(声・足音)」で、人の顔を識別しようとします。
ですので、猫は遠くから急に近づかれたり、あるいは突然物陰から現れて近かれたりすると、それがたとえ飼い主だとしても誰なのか判別できないため、驚いて逃げてしまいます。
猫を驚かせないように、猫から見える場所から近づいてあげましょう。
ゆっくりと静かに近づく
猫はとても用心深い動物です。
予測できない動きをするものが近くにいると、猫の警戒心はなくなりません。
「猫はおばあさんのような人を好みやすい」とお伝えしましたが、これは「おばあさんのゆったりとした動作に猫は安心感を覚えるから」というのが理由の1つです。
反対に人間の子供は、予測できない行動をすることが多いため、最も猫に嫌われます。
そのため猫にドタドタと走りながら近づくなどもってのほか。
猫にはゆっくりと近づくようにしましょう。
しゃがんだ状態で猫に近づく
猫の社会では、「高い位置にいる猫ほど優位」という暗黙の了解があります。
ですので、立った状態で猫に近づくと猫に強い恐怖心を与えてしまいます。
しゃがんだ状態で、猫に近づくようにしましょう。
体の大きな人は、それだけで猫を怖がらせてしまう可能性が強いため注意が必要です。
円を描くようにして近づく
猫にまっすぐ近づくのではなく、円を描くように近づくと猫は安心します。
目をじっと見つめない
猫がお互いに目をじっと見つめ合うのは威嚇や攻撃をするときで、喧嘩が始まる合図です。
いわゆる「ガンをつける」行為と同じ。
そのような習性が本能にインプットされているので、たとえ相手が大好きな飼い主であっても、見つめられると緊張が高まり、目をそらしたり目をつぶったりする場合があります。
そのためまだ信頼関係ができていないうちは、猫の目を見つめることは避けるべきです。
両目をゆっくりと閉じる両目ウインク、目を細める
先ほどお伝えしたとおり、猫の目をじっと見つめるのは「ケンカを吹っ掛ける時」です。
逆に「あなたに敵意はありません」と伝える時は、相手の目を見ながら両目をゆっくり閉じる(=目を逸らす)ことで、その友好の気持ちを伝えます。
この両目ウインクを人間が猫に対して行うことで、猫に「敵意はないですよ。お友達になりましょう」と伝えることが出来るのです。
また目を細めることも、両目ウインクと同様の効果があります。
こちらは両目をゆっくりと閉じる猫ちゃんの動画です。
飼い主さんのことを本当に信頼している証拠です。
猫の目線より下から手を差し出す
これも「しゃがんだ状態で猫に近づく」と同じ理由で、猫は自分より高い位置にいる者を警戒するからです。
上から手を出されると攻撃されると思ったりして逃げたり、場合によって噛みついてきたりします。
必ず猫の目線より下から手を差し出すようにしましょう。
人差し指のニオイを嗅がせて安心させる
初対面の猫同士は、鼻をくっつけて口の周りの臭腺を嗅ぎ、情報交換(あいさつ)をします。
猫は猫の鼻に似た形のものを嗅ぎたがる習性があるため、特に初対面の場合は人差し指の匂いをかがせて「あいさつ」してみましょう。
猫に人差し指の匂いを存分に嗅がせて、あなたの情報を知ってもらうことによって猫を安心させることができます。
匂いを嗅いだ後、しっぽを上にピーンと立てる、あなたに頭・体をスリスリする、仰向けになる等したらしめたもの。
あなたに心を開いた証拠です。
差し出した手を猫の首まわり等に伸ばして、そっと撫でてあげましょう。
これは動物病院の診察でも利用されている方法です。
あごの下と首まわり、耳の裏側を撫でる
猫が「触ってもOK」の態度を見せてくれたら、優しくなでてあげましょう。
猫が特に気持ち良く感じるのは、次の場所です。
- あごの下
- 首まわり
- 耳の裏側
手をすぼめて(小さくして)伸ばす
手を大きく開いて手を伸ばすと、猫は警戒することがあります。
そのため、手をすぼめて(小さくして)猫に伸ばすようにしましょう。
エサ・おやつを手で与える
いわゆる「餌で釣る作戦」です。
器に入ったエサ・おやつをあげるよりも、手で直接あげた方がその人からもらっている事をより強く意識させることができます。
その際も警戒心を与えないために、上からではなく下からそっと手を伸ばしてエサ・おやつをあげるようにしましょう。
ただ初対面のときや、まだ警戒心が強い場合は、エサを遠くから投げてあげるといいでしょう。
※ 野良猫にエサを与えると、法律で禁止されている地域があるため注意が必要です。
また近所の迷惑になる場合があるので、他人の迷惑にならない場所(自宅の庭など)であげましょう。
おもちゃで誘う
目の前でおもちゃを動かしてみましょう。
猫は目の前で動くものに強い興味を示しますし、おもちゃは猫にとって獲物をイメージさせます。
猫を遊ばせることが出来れば、信頼関係を築けるでしょう。
猫を叩かない
「しつけ」と称して猫を叩いてしまうと猫との信頼関係が壊れますし、猫を攻撃的な性格に変えてしまいます。
別の方法で、冷静に対処しましょう。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を疑ってみる
稀なケースですが、人間から虐待を受けた猫は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)になっている場合があります。
そのため、過去が良く分からない猫(元野良猫など)で「全然警戒心が解けない、絶対に体を触らせてくれない」などの場合は、PTSDを疑って獣医さんに相談してみるのも1つの手です。
[例外] 猫パンチをして逃げるのは、遊びに誘っている
猫が人間を前足で叩いて逃げるのは、その人を遊びに誘っている合図です。
猫同士で遊びに誘うときでも、これと同じことをします。
このような時は遊んでくれることを望んでいますので、猫を追いかけたりして遊んであげましょう。
「耳を外側に尖らせている」のは猫が嫌がっているサイン
猫が耳を外側に向けてピーンと尖らせているのは、猫が嫌がっているサインのひとつです。
さらに瞳孔が開いていたりすると、「デビルフェイス」と呼ばれる表情で恐怖や怒りがMAXになっているのでこの場合はすぐに猫から離れましょう。
さいごに
今回ご紹介した猫に好かれる方法を実践していただければ、猫に逃げられることが減り、なついてくれることも増えるでしょう。
猫に好かれる人物像は、「おばあさんのような人」「猫に無関心な人」です。
これを頭の片隅に置きながら、実践していただければと思います。