飼い猫の鳴き声がうるさいと悩まれている飼い主さんは、結構いらっしゃるのではないでしょうか?
早朝鳴き・夜鳴きなどあまりにも激しく鳴き続けると、場合によっては飼い主さんが不眠症になったりストレスを抱えることになってしまいますし、近所迷惑にもなりかねません。
そもそも猫がうるさく鳴くのは、ストレスや病気などを抱えているのが原因かもしれません。
そこで今回は、飼い猫(※)の鳴き声がうるさい・鳴きやまないときの理由と対策をご紹介したいと思います。
※ 飼い猫の鳴き声対策で、野良猫の騒音対策ではありません。
生活リズムの違い(早朝・夜中に鳴く)
早朝・夜中にうるさく鳴く理由
■ 生活リズムの違い(猫は本来朝型)
■ 昼間に寝すぎてエネルギーがあり余っている。
人間と猫の生活リズムは本来、違うとされています。
猫は明け方と日の入り前後になると活発になる(猫は本来朝型)という本能があるからです。
特に日の出時刻が近づいて、薄暗い時間帯になると、鳴き声を上げながら活発に動き出すという習性があります。
朝鳴き・夜鳴き・夜中の運動会をする理由としては、昼間たくさん寝すぎてエネルギーが有り余っているからといわれています。(猫はもともと夜行性で、夜中に狩りに出かける生活をしていたからという説もあります。)
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朝鳴き・夜鳴きがうるさい時の対策
■ ① 日中たくさん遊んでエネルギーを消費させる。
■ ② 朝鳴き・夜鳴きの時間帯にゲージ・猫専用の部屋などに入れる。
■ ③ ゲージ・猫専用の部屋などに入れず、飽きさせない家具の配置をする(キャットタワー、家具を階段状にするなど)
猫が朝型であっても夜型(夜行性)であっても、朝鳴き・夜鳴き対策としては、日中のうちにたくさん遊んであげてエネルギーを消費させてあげること(対策①)です。
しかし、飼い主の状況によっては難しいこともあります。
そこで、鳴き声を上げがちになる明け方・夜の時間帯のみ、猫専用のケージや猫専用部屋(遮音カーテンや防音カーペットなどの防音対策を施したもの)に猫を入れる方法(対策②)が推奨されることが多いです
<猫専用のケージ、猫専用部屋に猫を入れる際に気を付けたい事> どちらにしても冷え込みがきつくなる冬などは、室温にも気を配る必要もあるので、ケージに入れる際には毛布で囲う工夫も必要です。 なお、猫だけで猫専用の部屋で過ごさせる場合には、猫専用のこたつのように火災のリスクの少ないものを使うと良いでしょう。 猫専用のこたつのコードは頑丈にできていることが多いからです。低音やけどが心配であれば、電気を使わないドーム型ベッドもおすすめです。 |
猫によってはもちろんこのやり方(対策②)で落ち着いたり、次第に慣れる猫も多いと思いますが、個体差があるのも事実です。
また早朝にわざわざ早起きして猫をケージなどに入れに行くことは、飼い主にとって大きな負担になります。
私の場合は、猫の朝鳴き・夜鳴きがひどかったので、ケージを毛布に囲う方法(対策②)を試してみたところ、視界を遮ると慣れるどころか鳴き声はますますひどくなり、ケージ内の柵の破壊を試みたり、ペットシーツを引きちぎってみたりして危なくて仕方がありませんでした。
そこで、猫と一緒に過ごしている寝室で、猫が深夜でも飽きない家具の配置をしてみた(対策③)ところ、鳴き声率を劇的に低下させることに成功しました。
その他、ペット専用のドームベッドのねぐらや、猫専用のこたつ、猫専用の電気カーペットでも猫が過ごしやすいように調節しています。
飽きさせない工夫としては、家具の隙間にキャットタワーを配置したり、家具そのものを階段状に作ったりして、猫が上下運動を活発にできるようにしています。
他には、雪見障子の部屋が寝室なので、障子を少し上げて外を見せてあげることで鳴き声が一気におさまることが増えました。
外を見ることで満足しているようです。
猫の性格に合わせてあげることが大切なので、私は外が見えるような窓を、面積が狭くても一箇所でもいいから作ってあげることで、飽きを防いで鳴き声がおさまるということを発見しました。
以上のことから、私の家の猫の場合では、対策②よりも対策③の方法の方が効果があったといえます。
ちなみに、私の猫の場合は、元は野良猫出身で外が大好きだったという性格だったので、そこを考慮したうえで挑戦してみたやり方です。
要求鳴き(かまってほしい・遊んでほしい・外に出たい・水が欲しい、お腹が減ったなど)
猫は、かまって欲しいなどの願望があるときなどに、要求鳴きをすることがあります。
要求鳴き対策としては、一般的には無視することがベストとされています。
その理由は、猫は賢く学習能力が高いので、夜鳴きに付き合ってかまってあげると鳴けばいつでも自分の行動欲求が通ると猫が学習してしまうからです。
無視することで、「鳴いてもどうにもならない」と猫に学習させることができるということですね。
しかしながら、要求鳴きは全部無視すれば良いというものではありません。
おねだりは、「困ったおねだり」と「当然の要求」にしっかりと分けて対応してあげることが大切です。
<困ったおねだり>
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例えば、欲しがるからと言ってその度にフードをあげたりしていると肥満の原因にもなります。
また、早朝にフードを欲しがるからと言ってそのたびにフードをあげていると、猫は自分の要求が通ったと理解して、毎朝起こされることになります。
このような困ったおねだりは無視をして、鳴けば要求が通ると学習させないようにしましょう。
そのうち猫はあきらめるようになります。
<当然の要求>
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このような猫にとって当然ともいえる要求は、常に応えるようにしてあげましょう。
もしこのような要求も無視してしまうと、猫との信頼関係が崩れてしまう恐れがあります。
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鳴き声の種類・状況で、猫が何を要求しているかを知る
猫の鳴き声は大きく「呼びかけ・甘え」と「追い払う・威嚇」という意味の2種類に分けられます。
<鳴き声の種類> ■呼びかけ・甘え 「ニャ~」「ニャオ」「ニャ~オ」 これは要求・甘えの鳴き声で、子猫が親猫にさまざまな要求をしたり甘えたりするときに出す鳴き声です。(ゴロゴロという鳴き声にも要求の意味が込められていることがあります)
■追い払う・威嚇 「ミャーオ、ミャーオ」 喧嘩をするときの鳴き声です。敵意をむきだしにして相手を威嚇するときにこのような鳴き方をします。 |
つまり、要求鳴きのときは、「ニャ~」「ニャオ」「ニャ~オ」と鳴くのですね。
さらに、この鳴き声はその時の状況と合わせると、どんな要求なのかをさらに詳しく知ることができます。
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それでは、次の項目から猫の要求別に詳しくご紹介していきます。
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一緒に遊んでほしい、甘えさせてほしい、撫でてほしい [当然の要求]
■たくさんかまってあげましょう
普段は気まぐれで構われたくないと思われがちなネコちゃんですが、飼い猫となると話は別なようで、独りぼっちになる時間が多いとどうしても寂しいと感じてしまうようです。
ネコちゃんにとってはこれもストレスの一因となるので、鳴き声をうるさいと思わずにたくさん構ってあげましょう。
おもちゃを使って遊んであげるもよし、いっぱい撫でまわして反応を見てみるのも良いでしょう。
ここで、鳴き止まない猫を上手に大人しくさせている飼い主さんの体験談(成猫と子猫)をご紹介します。
体験談1(成猫)
行動欲求は通らないと学習させるためには、返事をしない、かまわない、無視をすることが大切とされているなか、私はいちいち返事をしてあげています。 そうしないと、延々と鳴き続け、室内の紙障子にプスプスと静かにタイミングを見計らいながら、爪で穴を開けるからです。 いきなり全部穴を開けたり、派手に大穴を作ったりするわけではなく、飼い主である私のタイミングを見ながら、穴サイズを調整しつつ室内の破壊行動を策略立てています。 鳴き声に無視をさらに続ければ、引出しに保管しきることができずにいる小物類を落下させることもあるので、返事をして対応しています。 「ニャーン! ニャー!」と言うたびに 「うん。はい。そうだね、でも今、みんな寝ているよ。他のお家の人もみんな寝ているから、寝ようね。もうすぐ朝になるから頑張ってね。暇だろうけど、もうちょっとの辛抱だから、ごめんね~」 なんて声をかけてあげることで、納得してじっとすることが増えるようになりました。 猫は飼い主の会話が分かっている説と、話は分かっていないけれど、声のトーンでだいたいのことを判別していると言われている説があります。 飼い主の思いは伝わるのでは、と説明を始めるようになってから私はそう思っています。 |
体験談2(子猫の場合)
ウチのネコちゃんはもうすぐ10歳を迎えます。 もうだいぶ年を取ってきていますので、一時期は落ち着いていたのですが、小さい頃はよく鳴き続ける子でした。 そういうときはまず、話しかけて撫でまわしてあげていました。 撫ですぎると嫌になってどこかへ逃げてしまいますので、そうなるまでかまってあげていました。 嫌になって逃げた後はたいてい鳴きやんでいましたので、小さい子猫の場合はかまってあげるのが一番かと思います。 よほどの体調不良や具合の悪い感じ(吐いてしまったりなど)がない限り、子猫の頃から飼っているネコちゃんは、「自分も飼い主の子供」位の気持ちで生きていますので、たくさん構ってあげるということが大事なようです。 元野良だと意外と構わなくても平気なのですが小さい頃から飼っているネコちゃんの場合はずっと「構って」という気持ちを忘れずにいるようですので、泣きやまないときは遊んであげることも大切だと思います。 さすがに夜中に鳴き止まない時は迷惑で仕方ないかもしれませんが、怒らずに撫でまわしたりお布団の中に入れてあげたり、ネコちゃんが何を欲しているのかを悟ってあげることが一番の対処法かなと思います。 |
水が欲しい・お腹が空いた(ごはんのあげ忘れなど [当然の要求]
■新鮮な水、フードを忘れずにあげましょう
お水が欲しい、お腹が空いた(ごはんのあげ忘れなどの場合。適正量をあげているのに、もっと欲しがる・早朝に欲しがる場合は無視しましょう)ということから鳴き声を頻繁に上げることがあります。
このような猫にとって当然の要求は常に満たしてあげましょう。
お皿が空になっているときは、水やごはんをあげて反応を見るといいですね。
ただ、日中であればこのような要求にも飼い主はすぐに対応することができますが、留守中や深夜であればそれも難しいこともあります。
そこで、猫が過ごしている部屋にあらかじめ猫が好きなキャットフードや新鮮なお水のお膳セットを用意しておくということで対策しても良いでしょう。
常に真新しいお水を求める猫さんの場合には、循環式の自動給水器で対応してみることも一つの手段です。
トイレを済ませたいのにできない [当然の要求]
【トイレが汚い】
■常にトイレは清潔に保ってあげましょう。
猫は綺麗好きなので、トイレが不潔だと用を足そうとしなかったり失敗してしまうことがあります。
【トイレの位置が悪い】
■猫の反応を見ながら、トイレの最善の場所を決めてあげましょう。
トイレの位置が悪いと、猫が落ち着かなくて同様に粗相・失敗することがあります。
その他のストレス
■ストレスの原因を突き止めて、ストレスを解消してあげましょう。
猫も人間と同じようにストレスを感じます。
ストレスを感じるとストレスサインのひとつとして、普段と違う声で鳴いたり、いつもはおとなしい猫がずっと鳴き続けたりします。
ひどくなるとストレスが原因で病気にもなりますので、原因を突き止めてストレスを解消してあげましょう。
ストレスの原因を解消すれば猫も鳴き止むかもしれません。
<猫のストレスのおもな原因>
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ストレスが原因なのかどうかを確かめるには、鳴く以外のストレスサインを出しているかどうかで分かる場合があります。
また、病院での血液検査で、ストレスをどれだけ感じているのかを確認する方法もあります。
<猫のストレスサイン>
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発情期
■ 避妊・去勢手術で根本的に解決する。
■ 手術しないのであれば、猫が発情鳴きしても構わないようにする。
不妊手術をしていないのであれば、発情期を迎えた時に起こる「発情鳴き」かもしれません。
この時期の猫は、「ナ~オ」という発情期特有の大きな鳴き声を出して異性を探し求めます。
発情期の時期は地域や日照時間によっても変わりますが、1~3月、8~10月頃です。(2月ごろがピーク)
この「発情鳴き」は、不妊手術をする以外に根本的に鳴止ませる方法はありません。
シャワーをかけたり、マタタビをあげたりするのは一時的な効果しかないそうです。
また、体を撫でると発情鳴きを助長させるともいわれています。
また水をかけたり、驚かせたり、マタタビや好物を与えたりしても、その瞬間に鳴き止むだけで、継続的な効果はありません。甘えてくるからと体を撫でていると、それが刺激になって余計に発情することもあります。発情が始まったら、できるだけ構わずに、見守っているのが一番です。
出典:アクサダイレクト
老猫の赤ちゃん返り
■ そのままの猫ちゃんを受け入れてあげましょう。
老猫の赤ちゃん返りをすると甘えん坊になって、以前は甘えなかったのに、年を取ってから甘えるようになることがあります。
すると、甘え鳴きが増えることがあります。
このような「赤ちゃん返り」は幼少期のような甘えん坊に戻ったということですので、そのままの猫ちゃんを受け入れてあげましょう。
ここで、赤ちゃん返りをした猫と上手く付き合っている飼い主さんの体験談をご紹介します。
年齢を重ねてきて、だいぶ年を取ってきた猫ちゃんなので、徐々に口うるさくなってきました。
寝ているときも起こしにやってきて耳元で鳴き続けられたり、ご飯の時間じゃないときや、まだ水が残っているのに水がないと訴えてきたりするようになっています。 困ったなぁと思いましたが、猫にも認知症があるのかしらと思い、「ほら、お水あるでしょ?」とお水のお皿に近づけてみたり、夜中に起こしに来たときはぎゅっと抱きしめたりしています。 体の調子も若い頃に比べたら動きが悪くなってきますので、気に入らないこともあるのでしょう。今まで登れてたところに登れないと訴えることもありますので、その時は抱っこして登らせてあげたりもしています。 とにかく構ってあげること、猫ちゃんの好きなようにしてあげることを中心にストレスをあまり抱えないように対処しました。 |
認知症
15歳以上の猫に認知症が発症しやすいといわれています。
認知症になると、抑揚のない声で「アォーーン」などと鳴くことがあります。
このように鳴くのは、自分がどこにいるのか分からくなり不安になったり、ご飯を食べたことを忘れることが原因の一つとされています。
認知症には次のような症状が見られますので、このような症状がみられたら認知症を疑って病院の診察をおすすめします。
- 抑揚のない声で鳴く
- 同じ場所をウロウロする
- トイレを粗相・失敗する
- 飼い主の顔が分からなくなる
高齢で視力・聴力が低下して不安
猫も高齢になると視力や聴力が低下しますので、それによって心細くなって鳴くことがあります。
モノによくぶつかる、耳が遠くなったなど、思い当たるふしがあれば動物病院で診察を受けることをおすすめします。
ケガ・体調不良、病気
ケガ・体調不良、病気が原因で鳴くことがあります。
そのような時はまず、猫の体をよく見てあげてケガをしていないか確認してあげましょう。
さらに、うんちやおしっこの量・色・においが普段と違っていないかを確認しましょう。
違いに気づくためには普段から、うんちやおしっこをチェックすることが大切です。
もし異変が見られなかったとしても、外見には現れないケガ・病気の可能性もあります。
どこかが痛かったり、変な感じがするということを鳴いて訴えているかもしれませんので、一度お医者さんにかかってみましょう。
診察の結果、異常がなければ無いでお医者さんに「鳴きやまない」ことを相談することもできますよ。
■甲状腺機能亢進症
「甲状腺機能亢進症」になると夜鳴きなど大きな声で鳴くことがあります。
次のような症状がみられるので、これらが見られたら動物病院で診察を受けることをお勧めします。
- 夜鳴き
- たくさん食べるのに痩せる
- 性格が攻撃的になる
- 走り回るなどやたら活発になる、落ち着かなくなる
- 脱毛
- 多飲多尿など
甲状腺機能亢進症ではたくさん食べるにもかかわらず痩せてくることが典型的な症状としてみられます。その他にも食欲減少、脱毛、多飲多尿、慢性再発性の下痢や嘔吐などの消化器症状、攻撃的行動や老齢に見合わない活発さ、発情期のような行動など、その症状の現れ方は多様です。つまり、高齢猫で何らかの内科的な問題がある場合には甲状腺機能亢進症があるかどうかを考慮する必要があります。
出典:あいむ動物病院
こちらは甲状腺機能亢進症の猫が、吠えるような鳴き方をする動画です。
防音対策(近所対策・飼い主用)
猫自身を鳴き止ませる対策ではなく、鳴き声を少しでも軽減させる対策をご紹介します。
飼い主用
- 耳栓
古典的ですが、お手軽で効果的です。
- 睡眠導入剤
猫ではなく飼い主が飲むものです。
近所対策
色々な防音グッズが売られていますので試してみるのも一つの手です。
- 防音カーテン
- 防音ケージ・防音ケージカバー
- 衝撃吸収マット
さいごに
人間に個人差があるように猫にも個体差がありますので、よく紹介されている方法では、もしかしたら鳴き止んでくれない場合もあるかもしれません。
そのようなときは、猫を観察してあげてその子の性格などに最も合った方法にアレンジしてあげることも、鳴き止ませる一つの方法だと思います。