犬も動物である以上、臭いがあるのは当然ですよね。
でも、例えば新しい犬を迎える場合に、「どの程度の匂いがあるのか」をある程度知っておけるなら、それにこしたことはないと思います。
そこで今回は、「臭くない犬・あまり臭わない犬」を厳選してご紹介します。
においの原因
犬の臭いの原因は、おもに次のとおりです。
<においの原因>
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それでは、これらの原因について詳しく見ていきましょう。
口臭・よだれ臭
犬の口臭・よだれ臭の原因には、以下のようなものがあります。
短頭種(パグ、ブルドッグなど)は体温調節のために口を開けていることが多いため、口臭・よだれ臭がある場合には余計に臭います。
歯ブラシなどで、こまめに口の中のケアしてあげましょう。
- 口内の細菌
- 歯垢・歯石
- 歯周病・口腔腫瘍・口内炎など
- 内臓からくるもの
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耳の臭い
耳の中の細菌・カビ・耳垢などが原因で、耳が臭うことがあります。
特に、垂れ耳の犬は耳の通気性が悪いため、細菌が繁殖しやすく外耳炎などになりやすいので、耳が臭いやすくなります。
耳の中をガーゼなどで、常に清潔に保ってあげましょう。
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涙やけの臭い
涙やけで毛についた涙が、細菌繁殖を起こすと臭いの原因になります。
涙やけは、特に小型犬に多い症状です。
涙やけをみつけたら、清潔なガーゼなどで綺麗に拭いてあげましょう。
涙やけの原因はおもに次のとおりです。
- 結膜炎、角膜炎、眼瞼炎などの眼病
- 毛やゴミなどが目に入ることによる涙の過剰分泌
- 涙が目の周囲の毛をつたって流れる
- 全身の水分が不足している
- 涙を外に出す管が詰まる
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肛門臭
犬の肛門の周りには「肛門腺」という悪臭をためる袋があり、これが臭いの原因となる場合があります。
肛門腺は定期的な排出が必要で、これを人為的に行うことを「肛門絞り」といいます。
「肛門絞り」は慣れれば自宅でもできますが、難しい場合は動物病院やトリミングのときにしてもらうといいでしょう。
顔しわ臭
短頭種(パグ、ブルドッグなど)は顔にシワ多いため、シワの溝に汚れがたまり細菌が繁殖しやすいので、臭いのもとになります。
濡らし・蒸らしタオルなどで、シワの溝の汚れをふき取ってあげるといいでしょう。
排泄臭
うんちやおしっこなどの排泄物が臭うのは仕方ないことですが、トイレ周りを常に清潔にしておくことで、臭いは改善されます。
また、ドッグフードを見直すことで、便臭が改善できる場合もあります。
毛が長い犬は肛門の周りの毛にうんちが絡まりやすいので、肛門周りの毛は常に短くカットしておくといいでしょう。
体臭
数あるにおいの原因の中で最もやっかいでケアしにくいのが、「体臭」です。
犬の体臭のおもな原因は、全身に分布する「アポクリン汗腺」から出てくる臭いのある汗です。
この「アポクリン汗線」は、人間ではワキの下などの限られた部分にしか存在しない汗線です。
また、この「アポクリン汗線」は「皮脂線」とつながっているため、皮脂を含んだ汗も排出されることになり、これが空気中の酸素に触れると細菌繁殖して臭いの原因になります。
汗線についてまとめると、このようになります。
汗線 | アポクリン汗線 | エクリン汗線 |
におい | 悪臭のもとになる | 無臭 |
汗の作用 | 主に異性を惹きつける | 主に体温調整 |
分布場所 |
犬:全身 人間:脇の下など部分的 |
犬:肉球など部分的 人間:全身 |
においが強い犬・弱い犬の特徴
犬は特徴(マズルの長さ、被毛の長さ、毛色など)によって、においが出やすい、においが出にくいといった傾向があります。
それを一覧にしてまとめました。
【においが強い】 ←――――→ 【においが少ない】 ① 体が大きい ←――――→ 体が小さい ② 短頭種 ←――――→ 中頭種・長頭種 ③ 垂れ耳 ←――――→ 立ち耳 ④ 極短毛(スムース) ・長毛(ロング) ←――――→ 短毛(ショート) ⑤ ダブルコート ←――――→ シングルコート ⑥ 毛の色が濃い ←――――→ 毛の色が薄い |
上記の理由は、以下のようになります。
① 体が大きい方が、単純に身体の面積が多いので、ニオイの量・範囲が増えるため。
② 短頭種は暑さに弱いので口を開けている(パンティング)ことが多く、また他の犬種よりもヨダレが出やすいため。また、鼻が短いと顔にシワができやすく、シワの溝の雑菌が繁殖しやすくなって臭いが出やすいため。
③垂れ耳になるほど通気性が悪くなり、外耳炎などの耳の病気になりやすく、それが臭いの元になるため。
外耳炎を発症すると炎症を起こし、ベトベトして臭いのある耳垢がたまります。
〔中略〕犬種ではミニチュア・ダックスフンド、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなどの垂れ耳の犬がかかりやすく、そのなかでもアメリカン・コッカー・スパニエルは重症になりやすいので、注意が必要です。出典:亀山動物病院
④ 超短毛種の場合は、皮膚に直接汚れがつきやすく細菌が繁殖しやすいため。長毛種の場合は、アポクリン腺が毛の中にこもって蒸れやすいため。
⑤ ダブルコートは、オーバーコート(上毛)とアンダーコート(下毛)の二重構造になっているので、毛量が多く通気性が悪い。そのため、一重構造のシングルコートよりも雑菌が繁殖しやすく臭いが出やすいため。
⑥ 一般的に、毛色の濃い犬(例:黒・茶)ほど体臭が強く、毛色の薄い色(例:白)ほど体臭が少ないといわれています。これは、色素細胞の成長過程でより多くの老廃物を排出するためだという説があります。
臭いが少ない犬種
これまで、「においの原因」や「においが強い犬・弱い犬の特徴」をご紹介してきました。
ここでは、それらを総合的に考慮した上で、体臭の少ない犬を厳選してご紹介します。
ただ、臭いの強さは犬種の違いだけでなく個体差にも大きく影響されるため、あくまでも傾向として参考にしてください。
<臭いが少ない犬種>
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次に、体臭と関係が深い特徴を、犬種別にご紹介します。
犬種別に振っているそれぞれのナンバー(①~⑥)は、「においが強い犬・弱い犬の特徴」で記しているナンバーと対応しているので、そちらとあわせてご覧ください。
プードル
① トイ・ミニチュア・ミディアム・スタンダードの4種類
② 中頭種
③ 垂れ耳
⑤ シングルコート(巻毛)
⑥ 毛色は10種類以上
※ 臭いにつながる注意したい病気:歯周病、耳の病気、涙やけ
ビションフリーゼ
① 小型犬
② 中頭種
③ 垂れ耳
⑤ ダブルコート(上毛は巻毛)
⑥ 毛色は白、クリーム、アプリコット(いずれも単色)
※ 臭いにつながる注意したい病気:歯周病、耳の病気、涙やけ
マルチーズ
① 小型犬
② 中頭種
③ 垂れ耳
④ ロングコート
⑤ シングルコート
⑥ 毛色は白のみ
※ 臭いにつながる注意したい病気:歯周病、耳の病気、涙やけ
シュナウザー(ミニチュア、スタンダード、ジャイアント)
① ミニチュア、スタンダード、ジャイアントの4種類
② 中頭種
③ 立ち耳または垂れ耳(断耳していれば立ち耳)
⑤ ダブルコート(上毛はワイヤーコート)
⑥ 毛色はブラック、 ホワイト、 ソルト&ペッパー、 ブラック&シルバーなど
※ 臭いにつながる注意したい病気:歯周病、耳の病気
パピヨン
① 小型犬
② 中頭種
③ 立ち耳または垂れ耳
④ ロングコート
⑤ シングルコート(ダブルコートのタイプもあり)
⑥ 毛色は白地にブラック、ブラウンの斑
※ 臭いにつながる注意したい病気:歯周病、耳の病気(垂れ耳の場合)、涙やけ
ミニチュア・ピンシャー
① 小型犬
② 長頭種
③ 立ち耳または垂れ耳(断耳していれば立ち耳)
④ スムースコート
⑤ シングルコート
⑥ 毛色はレッド、ブラック&タンなど
※ 臭いにつながる注意したい病気:歯周病、耳の病気(垂れ耳の場合)
イタリアングレーハウンド
Photo credit: Just chaos via Visualhunt / CC BY
① 大型犬
② 長頭種
③ 普段は後方に折りたたんでいる(ローズイヤー)
④ スムースコート
⑤ シングルコート
⑥ 毛色はブラック、グレー、イエローなど
※ 臭いにつながる注意したい病気:歯周病、耳の病気(垂れ耳の場合)
※ 歯周病の発症率がとても高い犬種です。
犬全体の歯周病発症率が1.4%であったのに対し、イタリアン・グレーハウンドは、15.1%と高い発症率を示した。
出典:アニコム
サモエド
① 中型犬~大型犬
② 中頭種
③ 立ち耳
④ ロングコート
⑤ ダブルコート
⑥ 毛色はピュアホワイト、クリーム、ビスケットなど
※ 臭いにつながる注意したい病気:歯周病、耳の病気(垂れ耳の場合)、皮膚病
チワワ
① 小型犬
② 短頭種
③ 立ち耳
④⑤ シングルコート(基本的にスムースコート)、ダブルコート(基本的にロングコート)
⑥ 毛色はブラック、 ゴールド、レッド、チョコ、ホワイトなどさまざま
※ 臭いにつながる注意したい病気:歯周病、涙やけ
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア
① 小型犬
② 中頭種
③ 立ち耳
④ ショートコート
⑤ ダブルコート
⑥ 毛色はホワイトのみ
※ 臭いにつながる注意したい病気:涙やけ、皮膚病
バセンジー
① 中型犬
② 中頭種
③ 立ち耳
④ スムースコート
⑤ シングルコート
⑥ 毛色はホワイト&タン、ホワイト&ブラックなど
※ 臭いにつながる注意したい病気:特になし
ボーダーコリー
① 中型犬
② 中頭種
③ 立ち耳、垂れ耳、半垂れ耳などさまざま
④ ロングコート、スムースコート
⑤ ダブルコート
⑥ 毛色はブラック&ホワイト、ブラック、グレーなど
※ 臭いにつながる注意したい病気:耳の病気(垂れ耳の場合)、皮膚病
ウィペット
① 中型犬
② 長頭種
③ 普段は後方に折りたたんでいる(ローズイヤー)
④ スムースコート
⑤ シングルコート
⑥ 毛色はグレー、タン、フォーン、ブルー、ブラック、ホワイト、 レッド、ブリンドルなど
※ 臭いにつながる注意したい病気:耳の病気(垂れ耳の場合)、皮膚病
グレートピレニーズ
① 超大型犬
② 中頭種
③ 垂れ耳
④ ショートコート
⑤ ダブルコート
⑥ 毛色はホワイト、グレー、薄いイエロー、ホワイト地にグレーの班など
※ 臭いにつながる注意したい病気:耳の病気、皮膚病
※ よだれがとても多い犬種です。
シベリアンハスキー
① 中型犬~大型犬
② 中頭種
③ 立ち耳
④ ショートコート
⑤ ダブルコート
⑥ 毛色はさまざまで必ずホワイトが入る
※ 臭いにつながる注意したい病気:皮膚病、外耳炎
ダルメシアン
① 中型犬~大型犬
② 中頭種
③ 垂れ耳
④ スムースコート
⑤ シングルコート
⑥ 毛色はホワイト&ブラックの斑、ホワイト&レバーの斑
※ 臭いにつながる注意したい病気:皮膚病、耳の病気
臭いの強い犬種
参考までに、臭いの強い犬種はこのようになります。
<臭いの強い犬種>
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さいごに
犬のカタログなどでは、「犬の匂い対策」について書かれていることはあっても、「匂いの強い犬種、匂いの少ない犬種」について書かれたものはそう多くないと思います。
特にワンちゃんをこれから迎えようとしている方に、今回の記事をひとつの参考にしていただければと思います。
