人間の赤ちゃんと同様に、犬も色々な予防接種を受けますよね。
この予防接種は薬である以上、副作用が起こる可能性は避けられません。
そこで、今回は予防接種を受ける際に知っておいた方がよいワクチンの副作用についてまとめましたので、ご紹介します。
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ワクチンの副作用の症状とは?
ワクチンには、大きく2つの種類があります。
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犬には本来、病原菌が体内に進入してきても、打ち勝つ自己免疫力があります。
しかし、病原菌の勢いが非常に強い感染症は、犬の自己免疫力だけでは打ち勝つことができないため、大きなダメージや致命傷となってしまいます。
その病原菌の進入を防ぐのがワクチンの役目ですが、時としてワクチンの副作用やアレルギー反応が出てしまうことがあります。
ワクチンによる副作用
ワクチンとは、犬の体にウィルスを希釈したものを注射して、一時的に犬の体内で抗体を作り、感染症から身を守るものです。
しかし、いくら薄めたとはいえ、ウィルスを体内に入れるので副作用を起こしてしまう事もあるのです。
たくさんの種類の混合ワクチンを打てば、多くの感染症に対応できる一方で、それだけ副作用のリスクもあるので、よく獣医師に相談した上で判断して下さい。
副作用にはいろいろな症状があり、軽いものから重いものまであります。
■軽度
軽い発熱、元気がなくなる、食欲がなくなることがありますが、1~2日軽い副作用が出て治療なしで回復します。
犬の様子が飼い主にも、なんとなく元気がないぐらいにしか感じないため、そのまま様子見で終わる事が多いです。
■中度
蕁麻疹(じんましん)が出る、顔などを痒がる、唇や目の周り首の周りが腫れます。
明らかに犬の顔に発疹や腫れが出るため、飼い主が見て異常に気がつきます。
この場合は、すぐに動物病院を受診したほうが安全です。
■重度
アナフィラキシーショックが、注射後30分以内に突然起こります。
呼吸困難、嘔吐、ぐったりする、目や歯茎などの粘膜が青白くなる、血圧低下、痙攣、昏睡と犬の様子が明らかにおかしくなります。
このような場合は、早急な治療が必要で遅れると命にかかわる大変危険な状態です。
ワクチンの副作用が起こる原因
ワクチンの注射には、防腐剤、病原体、免疫賦活剤(アジュバント)が含まれています。
アジュバントとは、長時間体内に病原体を留めておくことで、抗原性を増強して免疫を作り出す作用があります。
アジュバントの成分に、アルミニウムやホルムアルデヒドなどが含まれているために、この成分が犬の体質と合わない場合は、アレルギーが起こってしまうのです。
ワクチンの副作用が起こる確率
副作用が起こる確率は15000分の1(約0.006%)です。
しかし、アレルギー体質の犬にとっては、致命傷になってしまう恐れがあり、実際ショック死してしまったケースもあるので、決して軽く見ることはできません。
ワクチンの副作用の予防方法
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抗体検査をする(混合ワクチン)
混合ワクチンにおいて、「抗体検査」を行い感染症に対する防御能(抵抗力)を調べ、この検査結果に基づいて必要なワクチン接種だけを受けるという方法があります。
この検査によって、必要のないワクチンは受けずに副作用を回避することができます。
また、前回の予防接種でできた抗体価がどの程度残っているかどうかも分かります。
「抗体検査」は、基本的にどの動物病院でも可能です。
しかし、抗体検査の費用は病院によってかなりばらつきがあり、1抗体2000円~1万円と決して安くありません。
したがって、抗体検査を行い判明した必要な種類のワクチン接種も行った場合は、結果的に費用が高くついてしまうことが多いです。
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体調に注意する
犬の体調が悪かったり悪そうな時には、予防接種は避けましょう。
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アレルギー体質に注意する
食物でも、アレルギー反応が出る体質の犬がいます。
アレルギー体質を持っている犬はワクチン接種前に、十分に獣医師に相談をした上で受けましょう。
ワクチンの種類を減らす
あまり多くの種類の混合ワクチンを打つのではなく、その地域で流行している病気の傾向を把握しながら、8種類から5種類、5種類から3種にするなど、接種する混合ワクチンの種類を減らすという方法もあります。
かかりつけの獣医師と相談した上で決定してください。
混合ワクチンの接種の頻度を減らす
これまでは、混合ワクチンは年に1回接種するのが良いと言われていましたが、最近ではこの考え方が見直されています。
混合ワクチンのメーカーの論文の中には、混合ワクチンには3年から5年ほど免疫の効力があると書かれているものもあります。
抗体の持続期間は、個体差があり感染症の種類によっても変わってくるため、獣医師に混合ワクチンの間隔をどれだけ開けたらいいのか相談してみたほうが良いです。
シニア犬(老犬)への混合ワクチン接種は減らす
シニア犬(老犬)にワクチン接種をするときには、注意が必要です。
10歳を過ぎたシニア犬の場合は、体力が衰えてきているため、ワクチンの副作用が強く出る場合があるので、ワクチン接種の回数を減らした方が良いといわれています。
獣医さんによっては「10歳を過ぎたらワクチンを受けさせるべきではない」という意見もあるほどです。
そのため、前述した「抗体検査」を行ったり、かかりつけの獣医さんと十分に相談した上で慎重に判断して下さい。
生理中・発情中・妊娠中・授乳中は、ワクチン接種を避ける
生理中・発情中・妊娠中・授乳中は、ワクチン接種を避けましょう。
病院でもそのように呼びかけています。
子犬は、混合ワクチンを3回接種するまでは散歩させない
子犬の場合は、生後約4カ月までに混合ワクチンを3回接種することが一般的で、3回目の混合ワクチン接種が終わるまでは散歩させてはいけません。
3回目のワクチン接種を受けずに散歩すると、ウィルスに感染して命を落とす危険があるからです。
なお、子犬は、混合ワクチンを接種した後の2~3週間は、散歩や他の犬と接触をさせないようにして下さい。
混合ワクチンの免疫効果は、すぐに現れないためです。
ところで、3回目の混合ワクチンを接種させるまでに最大16週(生後約4カ月)までかかるわけですが、生後3カ月までの期間は、犬の「社会化期」といわれ、他の犬や人間、車やバイクなどに慣れさせるために必要な時期です。
この時期に散歩(外出)させることができないと、「社会化」させることが非常に難しくなってしまいます。
では、どうやってこの時期(生後3か月まで)に社会化させれば良いのかというと、「3回目のワクチンが終わるまでは犬を抱っこして外出する」という方法があり、これは獣医さんもお勧めしている方法です。
ワクチン接種後(混合・狂犬病)は、シャンプーと激しい運動をしばらく避ける
副作用防止のため、ワクチン接種後(混合・狂犬病)はシャンプーと激しい運動は避けましょう。
避けた方が良い期間は次のとおりです。
- 成犬:2~3日
- 子犬:3回目のワクチン接種後、2週間ほど
ワクチン接種後の対応と、副作用が起こった時の対策
ワクチン接種後は、「しばらく院内にて様子を見てください」と勧めてくる獣医師もいらっしゃいます。
もし、獣医師からそのように言われなくても、ワクチン接種後の30分ほどは、何か起こったらすぐ対応できるよう病院内か病院のすぐそばに待機していましょう。
万が一、アナフィラキシーショック(アナフィラキシーショック反応)が起きてしまった場合には、すぐに動物病院につれていきましょう。
酸素吸入、点滴、注射などで治療しなくては、命にかかわります。
さいごに
「犬を感染症から守るためのワクチンを、毎年接種するのが本当に良いことなのか?」といった議論が、近年高まりつつあります。
大切な愛犬を病気から守るためにワクチン接種をしたつもりが、ワクチンのアレルギー反応で逆にダメージを与えることになったら本末転倒です。
そのためには、正しい知識をもってワクチン接種に臨みたいものですね。