愛犬の不妊手術する?しない?
とてもデリケートな問題だけに慎重に判断する必要があります。
不妊手術とは、女の子(メス)なら避妊手術、男の子(オス)なら去勢手術のことですが、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
不妊手術の際には補助金(助成金)が出ることもあります。
そこで今回は、犬の不妊手術の費用の相場、補助金(助成金)についてご紹介します。
犬の去勢・避妊の手術費用の相場はどれくらい?
手術代の費用の相場
日本獣医師会による不妊手術費用の調査報告(平成26年度)によると、手術費用の価格帯は次のようになっています。
最も多い価格帯と中央値はほぼ一致していますが、料金の幅はかなり大きいです。
手術費用の相場 | |
去勢手術 | 17,675 円 |
犬避妊(卵巣切除) | 26,780 円 |
犬避妊(卵巣子宮切除) | 27,413 円 |
.不妊手術
[中略]
犬去勢 17,675 円
[中略]
犬避妊(卵巣切除) 26,780 円
犬避妊(卵巣子宮切除) 27,413 円
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不妊手術(去勢・避妊)の体重別の料金設定
不妊手術については、大多数の病院が体重別の料金を設定していると回答しており、料金を体重別に設定している病院が多いことがうかがえます。
不妊手術の体重別の料金設定 | |||
ある | ない | 無回答 | |
去勢 | 83.4% | 15.7% | 0.9% |
避妊(卵巣切除) | 85.3% | 13.4% | 1.3% |
犬避妊(卵巣子宮切除) | 88.5% | 10.8% | 0.7% |
不妊手術時の体重別料金設定の有無
犬去勢
ある 83.4%
ない 15.7%
無回答 0.9%
犬避妊(卵巣切除)
ある 85.3%
ない 13.4%
無回答 1.3%
犬避妊(卵巣子宮切除)
ある 88.5%
ない 10.8%
無回答 0.7%
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実際の手術費用
ここでは、病院ごとに実際の手術費用をご紹介します。
■A病院
去勢
(15kg以下) 20,000円
避妊 (10kg以下) 30,000円 入院費(去勢・避妊ともに1泊まで)と内服代(避妊のみ)も含む。 |
■B病院
去勢
(15kg以下) 32,700円 避妊 |
■C病院
去勢
(5kg以下) 25,000円 避妊 (5kg以下) 30,000円 ※入院代、入院中の処置(点滴、抗生物質、鎮痛剤など)、退院後の抗生物質を含む。 ※術前検査、抜糸は含まない。 |
■D病院
去勢手術 (5kg未満)15,000円 (5kg以上)1kgあたり500円プラス避妊手術 (5kg未満)25,000円 (5kg以上)1kgあたり1,000円プラス※麻酔代、入院代、血管確保、術中点滴、術前鎮痛、術後の内服薬代を含む。 |
■E病院
去勢 28,000円~ 避妊 38,000円~※再診料・麻酔・術前血液検査・点滴・内服薬・入院費・抜糸代等、全て込みの料金 ※体重10kgごとに5,000円プラス ※6歳以上は、術前血液検査分の5,000円プラス ※潜在精巣の場合、さらに約3,000~10,000円プラス |
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手術代以外の費用の相場(診察代、抜糸代など)
料金表の手術代以外にも費用が別途発生する場合があります。
相場は次のとおりです。
■去勢手術
去勢の場合は日帰りが多いため、手術後は経過観察のための診察代が必要です。
<去勢手術の手術代以外の費用の相場>
|
■避妊手術
<小型犬(3.5kg)避妊手術(一泊入院)の例>
(退院後の費用)
※これらのほか、傷口を舐めない様エリザベスカラーを使用したり、内服薬を処方されることもあります |
犬の去勢・避妊の手術費用は保険対象外!でも補助金(助成金)が出る場合がある
犬の不妊手術(去勢・避妊)は、ケガや病気にあたらないため、基本的にペット保険の適用外です。(有名どころのアイペット損保やアニコム損保などは適用外です。)
でも、がっかりするのはまだ早いです。
犬の不妊手術は国から補助金(助成金)が出る場合があります。
ここでは、助成金を受ける方法についてご紹介します。
助成金とは
不幸な命を増やさないために、市町村や獣医師会で不妊手術の助成金交付をしているところがあります。
なお、飼い主不明の犬のみが対象の場合も多いです。
助成金を受けるために必要なもの
交付される自治体や機関によって多少違いますが、基本的に次のものが必要になります。
- 各機関で用意されている申請書
- 狂犬病予防接種証明書
- 飼い犬登録番号
- 通帳・印鑑
- 手術の内容がわかる領収書・証明書
助成金を受ける手続きについて
助成金については、次の①と②の方法で受けることが出来ます。
① 居住している市町村で助成金交付がある場合
飼い主がその自治体に居住・納税し同自治体で飼い犬登録した上でその地域で犬を飼っているという条件のところが多いです。
なお、手術を行う動物病院もその自治体内でなければなりません。
- 術前申請の場合
助成決定通知書の交付を受け、指定された地域の病院で、指定された日数以内に手術を受ける。 - 術後申請の場合
助成申請書と実施病院の証明書を、術後に指定された日数以内に担当窓口に提出する。
② 獣医師会で助成金交付がある場合
獣医師会会員の動物病院の窓口で申請し、手術後に助成金を差し引いた金額を支払う。(京都市は市と獣医師会両方から交付される為京都市に申請・京都市が獣医師会に支払う)
いずれも助成頭数に制限があり上限に達すると助成は打ち切られます。
なお、会員の動物病院で申請書は簡単に入手できますが、先着の所と抽選の所があります。
他団体に関しては対象が今年は○○県というように全国の地域を限定して行うようですがすべて抽選です。
【 補足 】
①と②の両方で交付を受けられる地域はほとんど無く、基本的にどちらか一方でしか助成金交付は受けられません。
ざっくり言えば、「自治体からの交付のない地域において、獣医師会が独自に行っている所もある」といった感じです。
なお、飼い犬対象の助成金交付をしている自治体は少なく、大半が飼い主不明の犬猫が対象です。
まずは、ご自身の自治体・かかりつけの動物病院が助成金の交付対象になっているかどうかを、直接確認されると良いでしょう。
なお、全国の助成金の交付状況について調査しているサイトがあるので、そちらも参考になります。
全国の助成金の交付状況については、こちらのサイトで確認ができます。 |
病院の選び方は?料金が高すぎる、または安すぎる場合どうすればいい?
動物病院の金額設定は特に決まりがないため、地域や病院によってかなりの差が生じます。
値段の差は使う麻酔・手術用器具、犬の体重、助手の人件費、術前検査の内容等によって生じてきます。
ただ、「高ければいい、安ければダメ」という単純なものでもありません。
しかし例えば、高額の最新設備、器具、多くの人員を使っていれば、当然金額は高くなります。
一方、安すぎる場合は設備、人員、衛生面など何かを犠牲にしていることも考えられます。
また安すぎる避妊手術の場合、全摘せず卵巣摘出のみで子宮摘出しない可能性もあり、未熟な技術で卵巣摘出のみを行った場合は、子宮蓄膿症発症リスクが高くなります。
さらに、料金表の表示金額が「手術代と麻酔代のみ」の場合もあり、その場合は別料金が発生します。
手術の際に術者と助手、さらには麻酔をモニターするスタッフが1人ついたとしたら手術料金が5〜6万円位(場合によったらこれ以上)の請求が来ても仕方がないと思います。反対に手術するような環境ではない場所で麻酔は挿管を行わず注射麻酔のみ、縫合には原価の安い絹糸(絹糸が悪いわけではありません)を使用しモニターなどは行わず術者1人で行えばそれは破格で済むことでしょう。けれどもこのような状態で行っていれば麻酔事故(死亡を含めた)や感染などいつ起こっても不思議ではない状況です。
出典:のまた犬猫病院
料金については、先程ご紹介した動物病院の料金例をご参考にしていただきたいと思います。
ただ、良い動物病院を選ぶためには料金だけではなく、信頼できる動物病院かどうかを見極めることが大切です。
信頼できる動物病院かどうかを見極めるためには、次の点を基準にすると良いでしょう。
必ず手術代金の内容をしっかり把握したうえで動物病院を決めることをおすすめします。
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さいごに
不妊手術の是非についての考え方は色々ですが、愛犬の生殖能力を飼い主が奪ってしまう事に変わりありません。
間違えても、何の説明も受けないまま、あるいは何も調べないまま、不妊手術する事だけは避けてください。
術前に手術内容と費用を、しっかり確認・納得して臨むことが一番です。