ワンちゃんがクンクン鳴く時の声や仕草って、とても可愛いですよね。
こんなとき、犬はどんな気持ちで、どんなことを言おうしているのか気になりませんか?
実は、同じような鳴き声でも意味や理由が全く違うんです。
そこで今回は、犬の鳴き声の理由・意味・気持ち、その対処法などをご紹介したいと思います。
ただ、「クンクン」などという文字だけでは、どんな理由・意味なのか判断が難しいと思います。
そこで、その時にワンちゃんがとりがちな行動も一緒にご紹介しますので、鳴き声と行動を組み合わせて判断していただければと思います。
甘え・おねだり
鳴き声 |
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理由・意味 |
「ねぇねぇ」「お願い」「遊んで~」「散歩に行こうよ~」「お腹がすいたよ~」「水がほしいよ~」「トイレに行きたいよ~」 |
このように鳴くときは、「甘え」や「おねだり」の気持ちをあらわしていて、飼い主が要求を聞き入れてくれるのを待っているのです。
犬は「甘え」や「おねだり」をしている時は、次のような行動をとることがあります。
- 飼い主の目や、欲しいモノをじっと見つめる
- 遊びたいおもちゃを押しつけてくる
- しっぽを振る
- 飼い主の顔や口をぺろぺろ舐めてくる
- 前足で地面をかく
- 後ろ脚で立ち上がる
- クンクンなどと鳴く
- 飼い主を前足でカリカリ引っかいたり、鼻でツンツンつついてくる
- 立ちあがって飼い主に足をかけたり、体重をかけてくる
- ジャンプして飼い主に体当たりしてくる
鳴いてこのような動作をしていれば「甘え・おねだり」と判断できます。
甘え・おねだりの対処法(しつけ)
水、ご飯、トイレなど、大切な要求ならすぐに対応してあげましょう。
おやつなどの要求に応えてあげるときは、芸をさせてからおやつを与えることで(逆に飼い主が要求する)、主導権が犬に移るのを防げます。
ただし、要求を何でも聞き入れて甘やかしていると手の付けられないワガママ犬になりかねません。
過度な要求には、徹底した無視をして静かになってからおやつをあげるなどして、「鳴いても何も良いことは無い」「大人しくすれば良いことがあるんだ」と学習させるしつけも大切です。
例えば、子犬に夜鳴き(甘え鳴き)されたときに甘やかして一緒に寝てしまうと、「鳴けば自分の要求が通る」と学習してよけいに一人で眠れなくなってしまうので、ちょっと可哀想ですが無視をして一人で寝れるように慣れさせましょう。
ただし、水を飲みたい、空腹、トイレに行けない場合の夜鳴きもあるので、甘え鳴きと区別するようにしましょう。
なお、夜鳴き(甘え鳴き)には、次のような対応が効果的です。
- 日中は、よく運動させてエネルギーを発散させてあげる。
- おもちゃ、人形などを与えてあげる
- 寝床にクッションを詰めて、狭くて落ち着ける場所を作ってあげる
- テレビやリラックスできる音楽などを流してあげる
不安・恐怖・緊張
鳴き声 |
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理由・意味 |
「心配だな~!」「怖いよ~!」「寂しいよ~」「お留守番はイヤだよ~置いていかないで~!」 |
犬は不安・恐怖・緊張を感じると、このように鳴きます。
甘え・おねだりの時よりも、もっと悲しそうで訴える感じが強いです。
雷や花火の大きな破裂音などで恐怖を感じたり、孤独に対する恐怖感(家族が出かけようと身支度をしているときなど)で、急にこのように鳴きだすことがあります。
犬は「不安・恐怖・緊張」を感じると、次のような行動をとることがあります。
- 目をそらす
- 自分の鼻をなめる
- 鼻水をたくさん垂らす
- 耳をふせる(耳を後方に引いて頭にくっつける)
- 口を閉じる
- 地面にへたりこむ
- 身体がガクガクと震える
- 身体がこわばる
- 足裏(肉球)に汗をかく
- 背筋の毛が逆立つ
- しっぽを足のあいだに巻きこむ
- しっぽの先の毛のみ逆立つ
- 前足の片方を浮かせた状態で座る
- 飼い主に寄りかかる
- 後ずさりする
- 家の中の色々なモノをかじる
- トイレの場所を外す(粗相)
- 狭い場所に逃げ込む
- 脱走しようとする
鳴いてこのような動作をしていれば「不安・恐怖・緊張」を感じていると判断できます。
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不安・恐怖・緊張の対処法
このようなときは、「不安・恐怖・緊張」の原因を取り除いてあげるか、その対象物に徐々に慣れさせる訓練をしましょう。
症状があまりにも酷いようなら、分離不安症、恐怖症、PTSD(心的外傷症候群)などの心の病気を疑った方が良いかもしれません。
苦痛(病気・ケガなど)
鳴き声 |
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理由・意味 |
「痛いよ~」「苦しいよ~」「つらいよ~」 |
ワンちゃんが身体に痛みを感じている場合は、次のような行動をすることがあります。
- 患部をさわると突然鳴く
- 患部をかばうようにうずくまる
- お腹か腰に強い痛みを感じていれば、立ったまま背中を丸める
鳴きながらこのような動作をしていれば、病気(例:ヘルニア)やケガで苦痛を感じていると判断できます。
また、気温が低すぎて寒くて鳴くワンちゃんもいます。
このような時はすぐに対処が必要です。
病気やケガが疑われる場合は、動物病院で診てもらいましょう。
発情と偽妊娠
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発情について
メス(雌犬)は、発情期にクンクンなどと鳴くことがあります。
オス(雄犬)は発情期はありませんが、メスから発せられる発情期特有の化学物質を感知すればいつでも発情して、同じように鳴くことがあります。
その化学物質は約半径2キロ以内に広まり、オスはそれを感知できるといわれています。
そのため、オスの場合は近所に発情したメスがいると、それに触発されてクンクン鳴くことがあり、さらにメスに会いにいこうとして脱走を企てることもあるので注意が必要です。
発情時期については次のとおりです。
メス:春・秋の年2回 オス:特定の発情期はない。メスから発する発情期特有の化学物質に触発されることで発情する。 |
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偽妊娠について
犬は妊娠していなくても妊娠と同じ兆候が現れる(発情期の1~2カ月後)ことがあり、これを偽妊娠といいます。
偽妊娠になると、クンクンと鳴くことがあります。
避妊手術をしていないメスのワンちゃんが、次のような行動をとる場合は偽妊娠の可能性があります。
※ 偽妊娠は避妊手術をした直後(約1週間以内)にも起こることがあります。
- 人形やおもちゃをくわえながら、クンクンなどと鳴いて歩き回る
- 巣作りする
- 神経質になる
- 乳腺が張っている
- 母乳が出る
- 体重が増える
発情・偽妊娠の対策
【偽妊娠の対策】
■人形・おもちゃを隠す
■乳腺をさわらない、舐めさせない
自分の子供が出来たと思い込んでいるので、その子供(人形やおもちゃ)をワンちゃんに気づかれないように隠します。
他にも、子供に見立てそうな人形やおもちゃは全て隠しておきます。
子どもを探しながらクンクン鳴くかもしれませんが、ここは心を鬼にして徹底して隠しましょう。
また、乳腺炎を防ぐために、乳腺を触らない、舐めさせない(洋服を着せるか、腹帯を巻く)ようにしましょう。
偽妊娠は、発情期が終われば自然におさまりますが、何度も繰り返すようであれば獣医さんに診てもらいましょう。
【発情・偽妊娠の対策】
■投薬
■避妊手術・去勢手術
発情と偽妊娠を根本から予防するためには、避妊手術・去勢手術が最も有効ですが、投薬で症状を軽減させる方法もあります。
避妊手術・去勢手術には、おもに次のメリット・デメリットがあります。
デメリットもありますので、獣医さんと相談のうえ慎重に判断されることをおすすめします。
[メリット] メス:子宮内膜症、乳腺腫瘍(※乳腺腫瘍予防には早期の手術が必要)を防げる。 オス:前立腺肥大症、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫を防げる。
[デメリット] 全身麻酔による危険、肥満、ワンちゃんの体の負担 |
認知症(痴呆症)
老犬に多い認知症。
認知症になってしまうと子犬の心に戻って、甘えたい・寂しいという気持ちからクンクン、あるいは低いうなり声や遠吠えをしたりします(夜鳴き)
また、認知症の場合、次のような行動をとることがあります。
- 夜中にクンクンと無意味に単調な声で鳴いたり、遠吠えする、低い声でうなる、悲鳴のような声を上げる
- 夜に眠らない
- 徘徊、同じ場所を歩き回る、壁づたいに歩く
- 狭い場所に入り込んで出られなくなる
- 食事を食べたばかりなのに欲しがる
- 周りの音に反応を示さない
- 飼い主を飼い主と認識できない
老犬で、このようなことが見られる場合は「認知症」の疑いがあるので、動物病院で診てもらうことをおすすめします。
さいごに
よく犬の無駄吠えなどといわれますが、犬にとっては全ての鳴き声に意味があります。
すでにご紹介したように、鳴くことで病気のサインを出している場合もあります。
犬は言葉が話せないので、ぜひ日頃からワンちゃんの気持ちを気にするようにしてあげてくださいね。