愛犬があなたのそばで、可愛い顔をして寄り添って寝る・・・
そんな至福のひと時を想像しただけで、幸せな気持ちになりますね。
そこで今回は、
「犬が飼い主の足元で寝る理由・心理!くっつく位置で上下関係がわかる!」
ということで、わかりやすくご紹介します。
犬が飼い主の足元で寝る理由
▶ 飼い主をリーダーと認めている
▶ 甘え・忠誠心の表れ
そもそも、犬が飼い主に寄り添って寝る理由は何なのか考えてみましょう。
犬の祖先と言われるオオカミは、群れをなして集団で生活し、リーダーを中心に体を寄せ合い暖を取ります。
こういった習慣の名残から、犬は基本的に信頼している人間のそばで寝ることによって安心を得るのだと考えられます。
さて、人間のそばといっても、その時々で寝ている場所や密着度はずいぶん違うものです。
一説によると、犬が飼い主の足元で寝るのは、「飼い主をリーダーと認めているから」だといわれています。
また「甘えや忠誠心の現れ」でもあります。(顔などを飼い主にこすりつけるのも同様の意味です)
これは、「足元は人間の体の中で最も低い位置にあたるため」というのがその理由です。
いずれにしても、このような話を聞くとより一層ワンちゃんを愛おしく感じますね。
ただ、誤ってワンちゃんを蹴ってしまったり、足を踏まないように気を付けましょう。
愛犬が足元で寝ている時は、リーダーらしくドンと構えて見守ってあげれば、犬はとても安心して休む事ができます。
犬が飼い主の足元に「お尻や背中」をくっつけて寝るのは大きな信頼を寄せている証拠
犬が飼い主の足元で寝ているとき、飼い主に「お尻や背中」をくっつけて寝ていたら、それはなおさらリーダーとして信頼されている証拠です。
犬が「お尻や背中」を飼い主にくっつけて寝ていると、飼い主にそっぽを向いた状態になるので、飼い主に無関心だったり軽視しているようにも見えるかもしれません。
でもそれは思い違いで、このようにして寝る犬は飼い主に大きな信頼を寄せていますし、「外敵から守ってくれる頼もしい存在」とも思っています。
もし、犬が「背中やお尻」を向けて寝ている相手が自分に襲い掛かってきたとしたら、犬は即座に対応することができません。
つまり、犬は安心のできる相手にしか背後を見せないからです。
また「外敵から飼い主を守るため」という説もあります。
つまり、お尻や背中を付けるという行為は、自分が最初に外の危険に気付くようにしているということです。
犬が飼い主のどこの位置にくっついて寝るかで、「飼い主と犬の上下関係」と「飼い主への信頼度」が分かる!
犬が人間の体にくっついて寝る場所で、犬がつけている「飼い主と犬の上下関係」や「飼い主への信頼度」が分かるという考え方があります。
これは、『人間の体よりも高い位置で寝ているほど犬の地位が高い』という考え方です。
犬が寝る場所を4つに分けて、解説します。
① 頭の近く :自分の方が順位が上
② 胸の上 :自分の方が順位が上(上に乗らなければ③とほぼ同様の意味)
③ お腹の近く:自分と同等
④ 足元 :自分の方が順位が下
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① 頭の近く:自分の方が順位が上
頼りにしてる度:★☆☆☆☆
「頭の近く」で寝るのは、飼い主よりも立場が上だと思っています。
また自分の死角である「お尻や背中」を、飼い主の「顔や頭」にくっつけている場合は、敵に気づきやすい体勢でもあるので、このときの気持ちは「飼い主は死角を見せられるほど安心できる存在だけど、頼りないから敵から守ってあげよう」といったところでしょう。
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② 胸の上:自分の方が順位が上
頼りにしてる度:★☆☆☆☆
「胸の上」で寝るのも、①と同様に、自分の方が立場が上だと思っています。
「胸の上」に乗らずに、ただ「胸のあたり」で寝ているのであれば、③とほぼ同様の意味で飼い主と同等の立場だと思っています。
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③ お腹の近く:自分と同等
頼りにしてる度:★★★☆☆
「お腹の近く」で寝ているのであれば、飼い主と同等の関係だと思っています。
飼い主とは「気心の知れた友人」というところですね。
④ 足元:自分の方が順位が下
頼りにしてる度:★★★★★
冒頭でお伝えしたように、飼い主をリーダーと認めていますし強い信頼を寄せています。
足元に「お尻や背中」をくっつけているのであれば、信頼度はより大きなものになります。
違う考え方もある
先ほどの考え方は、犬が寝る体の位置に「飼い主と犬の上下関係」と「飼い主への信頼度」が現れるということですね。
しかし、そうではないとする考え方もあります。
先ほどの「高い位置にいるほど優位性が高い」という考え方は、(※)ドミナンス理論という考え方が元になっています。
(※)ドミナンス理論とは
「犬の祖先はオオカミであるため、オオカミの群れと同じように犬社会も階級制であり、群れの犬たちは常にボスを目指している」という考え方。
なお、「犬が家族の中で自分が一番偉い」と勘違いしている状態のことを「アルファシンドローム」という。
しかしこのドミナンス理論は、現在ではアメリカ獣医行動学会(AVSAB)によって否定されており、さらに同学会は「ドミナンス理論の考え方は、飼い主と犬の対立関係を生むことにつながる」としています。
また先ほどの考え方(犬が寝る位置に上下関係や信頼関係が現れる)を否定するとすれば、その根拠はおもに2つです。
- 犬の祖先のオオカミの生活を根拠としているが、野性のオオカミのリーダーは常に高い位置で寝ているわけではなく、低い位置で寝ることもあれば皆で身を寄せ合って寝ることもある。
- オオカミは犬の祖先ではあるが、両者の気質や体形は大きく異なる。
根拠2について補足します。
ロシアの実験によると、40世代にわたり警戒心の強い野生のキツネと警戒心の弱いキツネを交配した結果、身体の特徴が変化するだけでなく、人懐こいキツネが誕生したということです。
確かに、この実験と比較にならないほど長い年月にわたってオオカミから犬に変化していったことを考えれば、オオカミの習性や気質をそのまま犬にあてはめるのは無理がありそうですよね。
さて、このドミナンス理論ですが、あくまでも「犬社会」の階級制と「犬同士」による地位争いが否定されているに過ぎないそうです。
つまり、「犬と人間」との主従関係までが完全否定されているわけではないということですね。
「では犬とどんな関係を築けば良いの!?」とモヤモヤしてしまう方もいると思います。
ここで、「野生のオオカミの群れは家族(両親と子供)である」という報告があります。
この報告をもとにした、人間と犬は「ボスとしもべ」ではなく「親と子」の関係を目指すべき、という考え方があるのでこの考え方を参考にしてみてはいかがでしょうか。
ただ犬の心理については分かっていない部分が多いので、今後もさらに違う学説が登場するかもしれません。
筆者の考え方
これは筆者の考えですが、そもそも”犬の気持ち”というのは人間の感じ方とは全く違うものだと思います。
相手よりも「立場が上や下」、誰かを「好きとか嫌い」とかいうよりも「一緒にいて安心できるとか依存したいとか信頼している」という方が近い感情です。
これは、強いて言うなら先ほどの「親子間の感情」に近いのではないでしょうか。
また人間のように「昨日は楽しかった」とか、「明日はお友達のお家に遊びに行くのが楽しみ」とかいう気持ちは持っていません。
犬にとっては今現在が全てなのです。過去も未来もありません。
つまり、人間と犬の思考回路は全く違うということです。
そのため、犬には人間の心理を理解することはできません。
飼い主の感情を読み取る能力はあっても、理解することはできないのです。
もちろん犬はかけがえのない存在ですが、お互いに違う次元の感情を持っているのだと思います。
犬が飼い主の体にくっついて寝る理由
「犬が飼い主の足元で寝る理由」は既にご紹介したとおりですが、そもそも犬はなぜ飼い主の体にくっついて寝る(足元に限らず)のでしょうか?
- 安心感を得たい
- 甘えん坊、寂しがりや、人間への依存心が強い性格
- 飼い主と一緒にいたい
- 飼い主のにおいを感じていたい
- (安心を得た上で)ストレスを解消する
- 仔犬時代の習慣でくっつくのがクセになっている
- (飼い主が寝ている時に)飼い主が動かないのを心配していたり不安だったりする為
- (人間の子供が母親と寝たがるのと同じように)飼い主に構ってほしいという気持ちから
- 「飼い主の一緒に寝たい」という気持ちを読み取って一緒に寝る習慣がついた
- 暖を取るため
- 単純に犬用ベッドよりも人間の布団の方が寝心地がよい
と、考えられる理由はたくさんありますが、多くの場合は「安心感を得たい」「甘えん坊・寂しがりな性格」です。
いずれにせよ、飼い主にくっついて寝るという行為は、犬の「愛情表現」というより「信頼表現」といったところでしょうか。
犬が飼い主にくっついて寝るときや寝相ごとの「睡眠の深さ・リラックス度・警戒心」
飼い主と一緒に寝ている時も、犬だけで寝ている時も、犬には色々な寝相がある事に気がつきます。
さて、犬の寝相にも理由がある事をご存知でしょうか。
寝ているときに目薬をさしたり、耳掃除や爪切りなど決してしないで下さい。
愛犬への睡眠妨害は、大変なストレスになります。
飼い主に寄り添って寝る
睡眠の深さ ★★☆☆☆
リラックス度 ★★★★★
警戒心 ★☆☆☆☆
多くの場合は「安心感を得たいから」「甘えん坊・寂しがりな性格」
※「犬が飼い主にくっついて寝る理由」でご紹介したとおりです。
くっついている飼い主が動いたりして気になるので、睡眠は浅めです。
お尻や背中を飼い主にくっつけて寝る
睡眠の深さ ★★☆☆☆
リラックス度 ★★★★★
警戒心 ★★★☆☆
- 飼い主を守る。
お尻や背中を付けるという行為は、自分が最初に外の危険に気付くようにしているという事です。
- とても信頼している。
お尻や背中を見せる ⇒ 野生では背後を襲われる危険がある ⇒ 人間は自分を守ってくれる頼りになる存在と信頼している。
仰向け(へそ天)
睡眠の深さ ★★☆☆☆
リラックス度 ★★★★★
警戒心 ☆☆☆☆☆
仰向け寝(ヘソ天)で寝る犬は、とにかく警戒心ゼロでリラックスしきっています。
ここは安心安全だという心理が隠れています。
でも、長い時間寝るには苦しい体勢なので、睡眠は浅めです。
横向き
睡眠の深さ ★★★★★
リラックス度 ★★★★☆
警戒心 ★☆☆☆☆
横向きで寝ているのは「リラックス・熟睡状態」で、犬にとって最も楽な寝方です。
また「暑がっている」という理由もあります。
呼吸が早くなっていたら暑がっているかもしれないので、室温を確認・調整してあげましょう。
うつ伏せ
睡眠の深さ ★★★☆☆
リラックス度 ★★★☆☆
警戒心 ★★★☆☆
野生時代に身に着けた寝方です。
顎を地面にくっつけることで、地面からの振動(敵の足音など)をキャッチしやすくなるので、危険などを感じたらすぐに起き上がれる態勢です。
したがって、やや警戒心が高い状態といえます。
ただ、後ろ脚をダラッと伸ばし切っているときは、警戒心は低く安心しきっている状態です。
うつ伏せで飼い主の方をじっと見ている時は、飼い主の準備ができたらすぐに出かけられるタイミングを待っている時なのかもしれません。
丸まって寝る
睡眠の深さ ★★☆☆☆
リラックス度 ★★☆☆☆
警戒心 ★★★★☆
丸まってお腹を隠すように寝る理由は、「緊張しているから」です。
緊張感から犬にとって急所のお腹を守ろうとして、この寝相になります。
また「寒いから」という理由もあります。
身体を縮めることで身体の表面積が小さくなるので、体温の低下を防ぐことが出来ます。
犬が飼い主と添い寝することの問題点
夜に同じ布団で添い寝することについてですが、賛否両論でこれが正しいという答えはありません。(ただ添い寝しているとき、犬に布団をかけてあげる必要はないでしょう)
犬と人間が一緒に寝ることによって生じる健康上のリスクをよく理解したうえで、一緒に寝るかどうかを決めることが大切です。
犬を常に清潔に保つことも心がけましょう。
添い寝することによって生じる問題点をいくつか挙げてみます。
主従関係が崩れる
よく言われることですが、一緒に寝ていても崩れるようなことがないような関係を築くように日頃から心がけて、飼い主が上だということを分からせてあげましょう。
しつけをきちんとすることが大切です。
ズーノーシス(人獣共通感染)
感染病の中には人間に伝染する病気もあります。
一緒に寝ることによって伝染するリスクも高くなります。
- パスツレラ症
パスツレラ菌の感染により皮膚や呼吸器に症状が出る。
口移しなどで感染。
- レプトスピラ症
レプトスピラという細菌の感染により風邪のような軽い症状から重症化して死に至る事もある。感染源は主に川などの水場。
- サルモネラ菌
サルモネラ菌の感染により腸炎などを起こす。感染経路は口から。
など感染しないためにも犬の口と人間の口がくっつくキスなどには注意してください。
これら感染症の予防には、まず石鹸での手洗いが効果的です。
布団が毛などで不衛生になる
日本では布団が狭く、犬も人間も窮屈な思いをすることになります。
(ベッドで寝る習慣の外国では、愛犬と添い寝する人は少なくないようです)
さいごに
犬と添い寝するリスクをたくさん述べましたが、もちろんリスクだけではありません。
犬と一緒に寝ることは、人間にとって至福のひと時であり何物にも代えがたい幸せです。
一番大切なことは、犬も人間も幸せを感じるということです。
常に幸せを感じて過ごすと、ストレスもなくなり健康で過ごせること間違いなしです。
犬と飼い主がともに幸せを感じながら、それぞれに一番ふさわしい方法でぐっすり眠り、最高に素敵な夢が見られますように。