犬の椎間板ヘルニアの初期症状は?治る確率はどのくらい?

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ヘルニアは人間だけでなく、犬にも起こり得る病気です。
今回は、主に犬の椎間板ヘルニアについて、初期症状や治る確率などをまとめましたので、ご紹介します。

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犬のヘルニアの種類

ヘルニアといっても体のどこに発生しているかによって名称が異なってきます。

一言でいうと、体内の臓器が、体内の隙間もしくは裂けたところから飛び出してしまう症状を言います。

ここでは、いくつか代表的なヘルニアの種類についてのお話しをしましょう。

椎間板ヘルニア

代表的なヘルニアです。
頭や胴体を支える脊髄、最もクッションの役割を持つ椎間板への負担が大きくなって発生するヘルニアです。

ダックス系、ペキニーズやトイプードル、シーズー、パグ、チワワなど軟骨異栄養症性犬種がよく発症するといわれます。

  

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鼠系ヘルニア

犬の後ろ足の付け根付近、触ってみたことがありますか?

隙間がありますよね。その部分を鼠径(そけい)というんですが、その鼠径の皮下に臓器が飛び出すヘルニアを指します。

膀胱が近くにあり、膀胱が飛び出したりすると排尿障害が起こったりします。

  

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会陰ヘルニア

肛門付近のヘルニアですね!肛門付近の筋肉が弱くなると発症しやすいとも言われています。肛門の周りが膨れていたりしたら、疑ってみて病院へ早めに行きましょう。

  

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臍ヘルニア

簡単に言うと、でべそのことです。おなかに強い圧力が加わり、へその穴に隙間ができて広がることで内臓が飛び出すことです。
小さければ、ただのでべそでいいんですが、ヘルニア部分が大きくなると、腸が閉塞したり、血行が悪くなったりして手術が必要な場合もあるので、でべそでもご注意ください!

頚椎ヘルニア

頚椎とは、いわゆる首の部位です。

脊髄の上部である首がヘルニアになる理由は様々ですが、フローリングで生活している犬に多いと言われています。

フローリングは滑るので、首や腰などに大きな負担がかかって発症するとも言われています。

そのため、カーペットやじゅうたんを敷いてあげることによって、負担を軽減させることができます。

また、階段の昇降や、散歩でリードを強く引っ張ったりすることも、首に大きな負担をかけてることにもなるので、ご注意ください!

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犬の椎間板ヘルニアの初期症状

椎間板ヘルニアといっても軽度から重度の症状があり、確定診断するには全身麻酔をして検査しないといけないのです。
でも、愛犬は必ず初期症状ともいえるサインを出しているので、そのサインにいち早く気付いてあげましょう。
これはそのサインの一例ですが、こんな仕草の際は、ご注意ください!

  • 腰が左右に揺れて歩く
  • 背中を丸めて歩く
  • 首をうなだれて歩く
  • 一人で遊んでいるときに、”キャン”と叫ぶことがある
  • 背中や首、腰を撫でたりすると、動きが止まったり、キャンと鳴くことがある
  • 抱っこしようとすると、鳴いたり、唸ってくる
  • 散歩の途中で歩けなくなる。(座って動かなくなったり、うずくまったりする)
  • 首をすくめて動かなかったり、頭を上にあげず、上目遣いになる
  • 寒くもないのに、小刻みに震えてる。(ちなみに、犬は5℃でも寒くないそうです)
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犬の椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアでも発生する箇所や悪化度合いによっては、症状はいろいろとあります。
頸部や背中、腰などの部位に起こる症状としては、次のようなものがあります。

  • 鋭い痛みを発症します。頸部なら首、背中や腰などにも発症、触ったりすると嫌がったりします。
  • 重度になると、その部位だけではなく、脊椎を通して、四肢もしくは後ろ足が麻痺をします。自力で立ち上がれなくなったり、うまく歩けない、ひきずったりと、非常に痛々しい症状が出ます。脊髄軟化症になると、これに付随して食欲がなくなったりして一般状態の悪化にもつながります。肛門(便秘や下痢)、眼(充血、流涙)、呼吸(困難)に異常が見られ発症してから1週間ほどで死亡することもあります。

犬の椎間板ヘルニアの原因

椎間板ヘルニアの原因は、生活習慣によるもの、加齢に伴うもの、また犬種によってなりやすいものなどがあります。

具体的には、このようなことが椎間板ヘルニアの原因となります。

  • 太りすぎ、または、痩せすぎ
  • 全力疾走や段差の昇降、跳ねたり体をよじったりするような激しい運動による椎間板への負担
  • 肥満・骨の老化によって、脊髄に負担がかかり椎間板へも負担が大きくなる。
    この負担が、椎間板へ損傷を与え、脊髄やその神経に攻撃をして、麻痺や痛みを出すのです。

犬の椎間板ヘルニアの治る確率はどのくらい?

ヘルニアにも症状によってグレードがあって、そのグレードによって治る確率は変わってきます。
大きく二つに分けると、このようになります。

  • 腰や背中を触ると嫌がる、抱っこすると嫌がる、腰を振って歩くように見える
  • 排尿麻痺で自分の意志でおしっこができない、後ろ足が動かない、もしくはつねっても痛みを感じない。

前者の症状で考えると、90%ほど回復が可能といわれていて、後者の症状になると、50%ほどの手術成功率といわれています。
ヘルニアは重度グレードになると、車いすが必要な愛犬も少なくありません。
いずれにしても、あくまでも回復であり、完治ではないことをご理解ください。
先天性のものもあれば生活習慣、老化による原因ですので、再発も含め、症状を改善するということが大事なのです。

犬の椎間板ヘルニアの治療法とその費用

ヘルニアの治療法は、大きく「内科的治療法」と「外科的治療」法の2つに分かれています。

内科的治療法

症状が軽い場合に、この治療法を使います。

薬剤で患部の痛みを和らげ(痛み止め)、楽な姿勢・楽な寝方で安静期間をとり、コルセットなどで固定し、運動を差し控えるといった治療なので、完治ではないということを認識することが必要です。応急処置に近いですね。

薬の種類の1つとして、よくステロイドなどの薬品名を聞くことがあります。ステロイドは、椎間板によって脊髄や神経の炎症を緩和し痛みを軽減します短期的(1~2週間)の服用が限度と言われており、長期的服用は、副作用の注意があるため、注意が必要です。

この内科的治療での費用は、病院によって多少異なりますが、1,000円~2,000円程度といわれてます。
ただし、内科的治療は再発の可能性が高いとも言われています。

外科的治療法

いわゆる椎間板を取り除く手術です。

排尿障害が出てくる重度のものは、外科的治療法になりますし、またそこまで強い症状ではないものの、3か月内科的治療を施しても回復効果が見込まれない、再発するなどの場合は、外科的治療法を取り入れるようです。
この外科的治療での費用は、痛みの原因となる椎間板を取り除くため、全身麻酔やMRI検査、レントゲンなどの画像検査をして厳密に進めます。
脊髄神経付近での手術を施すため、不随や、大量出血、最悪死亡の危険性もあるとされてるので、高い技術が求められてるのも事実です。

そのため、手術費用は25万~50万円が相場といわれています。病院ごとに金額も異なりますが、大学病院、動物医療センターなどで高度な医療施設を使用する場合や、名医にお願いするような場合は、高額になってきます。

犬の椎間板ヘルニアのリハビリ方法とその費用

ヘルニア治療にあたって回復、改善したとしても、治療後(手術後)に症状が元に戻らないようにリハビリが必要です。
自宅でもできるリハビリ方法もあるので、いくつか紹介したいと思います。

温浴

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温熱療法で身体を暖める方法です。

炎症が治まって1週間ほどしていればOKですので、ご自宅でもできますね!

温度42度くらいで設定し、首から腰にかけてシャワーを浴びせながら、浴槽(*犬にあった浴槽が必要ですね)にお湯をためていくのです。

このとき、湯船から脊髄が出ていたりすると冷えてしまうので、タオルをかけて保温してあげてくださいね。

また、湯船5分、冷水シャワー30秒など繰り返すと、神経も活性化するので良いとも言われています。

温浴した後、愛犬をきちんと乾かしてあげないと身体が冷えてしまって台無しになります。ご注意を!
こちらは、ヘルニアのダックスフンドの温浴療法の動画です。

鍼治療(針治療)

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Photo credit: acidpix via VisualHunt.com / CC BY

15回ほどで効果が出るといわれてます。費用は1回あたり5,000円~7,000円です。

症状によっては、外科的治療を施すより1/3の経済負担となりますので、鍼療法でご検討される方もいます。

ただ、効果はすぐに現れないので、回数を重ねていかないといけません。

また、鍼も手術と一緒で術者の技量によって効果も様々なので、3回ほど行っても効果が現れないようなら、 他の病院もご検討した方がいいでしょう。

こちらの動画で、鍼治療によってヘルニアが改善されていく様子が紹介されています。

マッサージ

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Photo credit: _tar0_ via Visual Hunt / CC BY

 

これも自宅で飼い主さんができます。

湯船の中でマッサージなどしてあげてみてください。

肉球を飼い主さんにマッサージされるだけでも神経に刺激を与え、効果的ですよ!

ツボも効果的ですが、飼い主さんがツボを知らないと効果がないので、その際は病院へご相談を!
※詳しいマッサージの方法は、獣医師さんにご確認ください。

こちらは、ヘルニアになってしまったミニチュア・ダックスのマッサージ動画です。

水泳

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プールなどで水泳することも、全身運動が長時間(30~60分)できるので、ヘルニアに効果的とされてます。

外科的治療での傷などは、ワセリンなどで防水対応しておきましょう。良いリハビリ法ではありますが、夏といえども水に長時間冷やした後は、温浴をお忘れずに。
※詳しい水泳の方法は、獣医師さんにご確認ください。

こちらは、ヘルニアになった犬のプールでのリハビリ動画です。

屈伸運動

愛犬を、マット状にあおむけにした状態で、自転車をこぐように、左右ゆっくりと屈伸運動をしましょう。

この方法は、健康だった時の感覚を思い出させるとともに、患部の神経にも刺激を与えて効果が高いとされています。
飼い主さんと一緒にするのであれば、ワンちゃんも安心ですね。
※詳しい屈伸の方法は、獣医師さんにご確認ください。

こちらの動画でもリハビリ運動が紹介されています。

 

半導体レーザー治療・超音波療法・低周波療法・電気刺激

整骨院などによくあるレーザー、超音波、低周波、電気などの機械で神経機能を刺激する療法もあります。

費用は、1,000円~2,000円ほどといわれております。

犬の椎間板ヘルニアの保険

これまでご紹介したように、犬の椎間板ヘルニアは、多額の治療費がかかる場合があります。

いろいろな犬の保険会社がありますが、ヘルニアが「保険対象外」になっていることがありますので、保険に加入する際によく確認しておくことが必要です。

犬の椎間板ヘルニアの予防方法

椎間板ヘルニアは、完全な予防はできないものの、飼い主さんの日頃のケアで予防することができるのです。
ヘルニアになりやすい犬種については、特に激しい運動は避けましょう。

特に骨格が未発達の時期に、ジャンプや、前足あげての歩行、全力疾走、高いところからの飛び乗り飛び降りなど、首、背中、腰に負担がかかるような運動は飼い主さんが止めてあげないといけません。
散歩などに行く際も、首輪ではなく、ハーネスなどを付けてあげると脊髄の負担軽減になります。
ちなみに、飼い主さんの抱っこの仕方によってヘルニアになるケースもあります。

正しい抱っこも予防方法の一つですので日頃から注意してあげてください。
また、最近室内での生活が増え、フローリングが多くなることで、ヘルニア発症の危惧がされています。

フローリングでの愛犬の生活は、首や腰に大きな負担がかかります。カーペットやじゅうたんを引き、滑らない環境を整えてあげましょう。
ソファやベットからの昇降も危険です。最近、犬用のスロープや階段が販売されています。躾と同時にご用意してもいいかもしれません。
ついつい、大好きな飼い主さんのもとへ飛んでいきたい愛犬は多いと思いますので。
最後に、食事管理ですね!体格にあった食事の量をとり、ビタミン剤などサプリメントを取り入れ、肥満にならないよう配慮する意味でも大切な予防法になります。